研究概要 |
昨年度は、インスリン遺伝子上流繰り返し配列(IDDM2)が日本人でもIDDM感受性遺伝子としての意義を有することを認め、報告した(Diabetes46:1637-1642,1997)。引き続き本年度は、CTLA-4遺伝子多型性(IDDM12座位)およびIL-1遺伝子座についての検討を行った。 1.CTLA-4遺伝子多型性(IDDM12座位) CTLA-4はTリンパ球の活性化にCD28と共にかかわっており、自己免疫疾患との関連が注目されつつある。白人ではCTLA-4遺伝子多型性とGraves病、IDDMとの関連が報告されている。我々はCTLA-4遺伝子多型性と日本人IDDM、Graves病、橋本病との関連を検討したところ、Graves病、橋本病のみならず、急激発症(1ヶ月以内にインスリン開始)かつインスリン枯渇(s-CPR<0.1ng/ml)の“典型的"IDDMで有意な関連を認めた(Diabetes47:128-129,1998)。現在、関連機序についての検討を行っている。 2.IL-1遺伝子座 この座位には、IL-1β遺伝子、IL-1受容体タイプ(IL1R1)遺伝子、IL-1受容体アンタニゴスト(IL1RN)などの遺伝子があり、それらの多型とIDDMとの関連が白人の一部で報告されている。我々は、日本人においても十分な多型性を認めるIL-1βAval多型およびIL1R1 PstI多型とIDDM、AITDとの関連をcase-contol studyにて検討したが、有意な関連は認めなかった。したがって、日本人においてはIL-1遺伝子座はIDDM・AITD感受性遺伝子として重要ではないものと考えられた(投稿準備中)。
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