日本人インスリン依存型糖尿病(IDDM)の感受性遺伝子として、HLAクラスII遺伝子の詳細を我々は明らかにしてきたが、本研究ではインスリン遺伝子上流繰り返し配列、CTLA-4遺伝子多型性およびIL-1遺伝子座についての検討を行った。 1.インスリン遺伝子上流繰り返し配列(IDDM2座位) インスリン遺伝子上流には14〜15bpの繰り返し配列が存在し、白人ではこの繰り返し回数が少ないものがIDDMになりやすいことが判明している。我々はこの部位の詳細な解析を行い、日本人でもIDDM感受性遺伝子としての意義を有することを認め、家系を用いた関連分析でも確認された。 2.CTLA-4遺伝子多型性(IDDM12座位) CTLA-4はTリンパ球の活性化にCD28と共にかかわっており、自己免疫疾患との関連が注目されている。白人ではCTLA-4遺伝子多型とGraves病、IDDMとの関連が報告されている。我々はCTLA-4遺伝子多型と日本人IDDM、Graves病、橋本病との関連を検討したところ、Graves病、橋本病のみならず、急激発症(1ヶ月以内にインスリン開始)かつインスリン枯喝(s-CPR<0.1mg/ml)の“典型的"IDDMで有意な関連を認めた。現在、関連機序についての検討を行っている。 3.IL-遺伝子座 この座位には、IL-1β遺伝子、IL-1受容体タイプ1(IL1R1)遺伝子、IL-1受容体アンタゴニスト(IL1RN)などの遺伝子があり、それらの多型とIDDMとの関連が白人の一部で報告されている。我々は日本人において、IL-1β AvaI多型およびIL1R1 PstI多型とIDDM、AITDとの関連をcase-contolstudyにて検討したが、有意な関連は認めなかった。したがって、日本人においてはIL-1遺伝子座はIDDM・AITD感受性遺伝子として重要ではないものと考えられた。
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