研究課題/領域番号 |
08671181
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
東島 利夫 順天堂大学, 医学部, 講師 (70053048)
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研究分担者 |
河盛 隆造 順天堂大学, 医学部, 教授 (00116021)
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
有坂 知之 順天堂大学, 医学部, 助手 (30266043)
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キーワード | 血小板 / 12-lipoxygenase / 糖尿病 / 糖尿病性血管合併症 / 糖尿病性腎症 / microalbuminuria / microangiopathy |
研究概要 |
昨年度は糖尿病患者の血小板12-LOX活性は健常者に比べて有意に低下し、HbA_<1C>との間に弱い相関性があることを明らかにした。本年度は血小板12-LOX活性と糖尿病性腎症との関連性を検索した。 1.対象:前年度12-LOX活性(ng/10 min/5×10^7 PLT)を測定した糖尿病患者を1.1以上の正常群(N=18,年齢57.4±14.9、男性12、女性6)と1.09以下の低下群(N=40、年齢58.2±12.2、男性25、女性15)に区別し対象とした。 2.方法:(1)尿中microalbumin:検査前日21:00時に排尿後絶食し翌朝6:00時まで蓄尿して得られた尿を試料として免疫比濁法で測定した。(2)HbA_<1C>:早朝空腹時に採血しHPLC法により測定した。 3.成績:(1)12-LOX活性低下群ではHbA_<1C>値と尿microalbumin排泄量との間に有意な相関を認めた(r=0.547,P<0.002)が正常群では相関を認めなかった。(2)12-LOX活性低下群(罹病期間5年以上、N=13)の尿microalbumin排泄量は性、年齢、罹病期間を一致させた12-LOX活性正常群(N=13)に比べ有意に高値を示した。(P<0.04)。 4.考察・結論:今回、糖尿病では血小板12-LOX活性が有意に低下し、12-LOX活性低下群は正常群に比べ尿microalbumin排泄増加を有意に認めた。さらに12-LOX活性低下群ではHbA_<1C>値と尿microalbumin排泄量が相関するにも拘らず、12-LOX活性正常群では相関性が認められなかったことは血小板12-LOX活性の低下が糖尿病腎症の発生・進展の危険因子であることを示唆している。血小板12-LOX活性の低下によって腎症が発生・進展する機序については、最近「血小板12-LOXが血小板phosphlipase A_2活性を抑制する」ことが報告され、12-LOX活性低下が血小板phosphlipase A_2活性を亢進させTXA_2産生の亢進を招来し血小板凝集を亢進させるためと推定された。
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