研究概要 |
最近一般的に使用されているレトロウイルスやアデノウイルスベクター系以外に、バキュロウイルスをベクターを用いた遺伝子治療法の可能性が報告された。このベクター系では,肝臓細胞に特異的に感染して組み込んである遺伝子を発現する。我々は、この系が遺伝子の発現系として簡潔であることから、バキュロウイルス発現系を遺伝子治療に応用するプラスミドの構築した。ヒトUDP-グルクロン酸転移酵素(UDPGT)がバキュロウイルスの宿主であるSf9で発現し、酵素活性を持っているか否かを調べた。ポリヘドリンプロモーターの下流にUDPGT遺伝子を繋いだpLV1392ベクターを構築してSf9細胞に導入発現させた。Western法による抗UDPGT抗体による検査結果では、酵素蛋白質の量そのものは多くないが、高比活性の酵素が発現していることがわかった。肝臓細胞に特異的でしかも高い発現活性を持っているα1-antitrypsinのプロモーターをビリルビンUDPT遺伝子の上流に連結させたプラスミドを構築した。このベクター系もSf9細胞で発現しビリルビンUDPTがWestern blottingで検出された。現在、UDPGT遺伝子を組み込んだベクター系が培養肝臓細胞であるHepG2,Huh7で本酵素を発現させるかトランスフェクションして検討している。一方、ビリルビンUDPT遺伝子の発現調節がどのように行われているかを、プロモーター領域を単離して詳細に検討した。HNF1をはじめ、ビリルビンUDPGT遺伝子発現の必須領域が同定された。
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