研究概要 |
1)ヒトCD34+細胞純化法の改良 ヒト赤芽球系幹細胞の分化に伴うテロメア長とテロメラーゼ活性の推移を検討するにあたって、検討に足るだけの細胞量を確保することが重要である。ヒト末梢血からの迅速なCD34+細胞純化法を開発し報告した(Bone Marrow Transplantation, 19 : 373-379, 1997)。本法はナイロンファイバーを充填したシリンジを用いて単核細胞中の単球・マクロファージ系細胞を処理するもので、従来の方法に比べ高純度のCD34+細胞を大量かつ迅速に純化できるという利点を有する。本法を用いてヒト骨髄からCD34+細胞を純化し骨髄異形成症候群における分化・増殖の異常について検討し報告した(Blood, 88 : 319-327, 1996 : Leukemia and Lymphoma, 22 : 43-51, 1996)。 2)ヒト赤芽球系幹細胞の分化に伴うテロメア長とテトメラーゼ活性の推移 細胞プロセッシング法の改良によってヒト末梢血から高純度のCD34+細胞が比較的容易に得られるようになった。現在、純化CD34+細胞の赤芽球系への系特異的分化誘導システムを確立し標記研究課題を遂行中である。同時に、このシステムにおいて系特異的に誘導される赤芽球系細胞の性状把握を目的として他の施設と共同研究を進めている。その結果、ヒト末梢血CD34+細胞からスタートして、種々の分化段階にある赤芽球系幹細胞をhomogeneousに誘導できること(Blood, in press, 1997)、細胞内シグナル伝達系の実験にも応用可能であることを確認した。
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