研究概要 |
thrombopoietin(TPO)は巨核球前駆細胞(CFU-Meg)に作用し、CFU-Megを増殖させるとともに、これを巨核球へと分化させるlineage-specificな造血因子として報告された。筆者はTPOが巨核球のみならず血小板に作用し、血小板活性化に関与することを既に報告したが(Thromb Haemost 74(6) 1541,1995)、本研究ではTPOの血小板活性化機序、特に情報伝達経路に焦点をあてた。この結果、TPOはprotein kinase C (PKC)活性化、細胞内Ca濃度の上昇を来すことはなく、従来他の有核細胞で報告されていたJak-Stat.Ras-MAPK経路を活性化することが明らかになった。さらにTPOはJak-Stat.Ras-MAPK経路のみならず、Tec kinaseを活性化することが明らかになった。Tecが血小板に存在し血小板活性化に関与することは、今回初めて明らかになった知見であり、現在投稿中である(Blood 88.Suppl 1 24a.1996参照)。
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