研究概要 |
我々は既に骨髄及び末梢血のBリンパ球にも好中球と同様の活性酸素産生系が発現していることを明らかにしてきた。即ちこの系を構成するCytochrome b558の大小両サブユニット、分子量47K,65Kの細胞質蛋白質が存在していることをそれらに対する抗体を用いてウエスタンブロットにより確認定量した。またPMAあるいはImmunoglobulin(Ig)その他の表面抗原(CD19,DHR等)をcross linkした時、活性酸素の産生がみられた。しかしこのB細胞の産生する活性酸素が果たす役割はまだ不明である。そこで我々はWattsの方法に準じて、毒素(破傷風等)に特異的なsurface Ig(sIg)をもつ正常人及びCGD(Chronic Granulomatous Disease,慢性肉芽腫症)の患者由来のEBV-BCLに毒素を取り込ませ、Processingに差があるかどうかを調べる実験を始めた。しかし、その後CorradinらによりCGD患者由来の抗原提示細胞(Ag Presenting Cell;APC)による破傷風毒素のProcessing及び特異的なヒトT細胞への提示に異常はなく、正常人由来の細胞とかわらないという報告がなされた(Clin・Exp.Imunol.95,227,'94)。現在までに作成したEBV-BCLで正常人由来の細胞とCGD患者由来の細胞を比較した時、正常人由来のものでは細胞表面にsIgMをもつ細胞が多かったのに対して、CGD患者由来のものでは細胞表面にsIgGをもつ細胞が多いことに気づいた。そこで新たに主にCGD患者のBリンパ球よりEBV-BCLを作成し、クローニング及びSortingによりsIgMをもつ細胞を集めている。スーパーオキシド産生条件下でanti-CD40抗体及びIL-10等でIg Class switchを起させ、正常人由来の細胞とCGD患者由来の細胞でClass switchに差があるかどうかをsIgに対する抗体を用いてFlowcytometryで調べる予定である。又、anti-CD40抗体を用いてCD40をcross linkさせた時、Takada-Rajiでは比較的多く(anti-IgM抗体を用いてsIgMをcross linkさせた時の1/3位)の活性酸素の産生がみられたが、JCRB-Raji,RPMI1788,HS-Sultan,EBV-BCLでは産生がみられても非常に少なかった。
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