研究概要 |
膜スフィンゴミエリンより産生されるセラミドはアポトーシス誘導作用を持つ。その機序を検討し抗癌在耐性克服、新たな抗白血病剤の開発や薬剤感受性予測法の開発を目的に、多剤耐性細胞におけるセラミドのアポトーシス誘導効果、活性酸素調節系に対する作用、人新鮮白血病患者細胞におけるセラミド産生能、セラミド誘導アポトーシス時のPKCの役割について検討した。細胞膜透過性C2セラミドは、多剤耐性HL60VINC,HL60RNMW株にWild株同様にアポトーシスを誘導した。catalase耐性HL60/HP100株にもアポトーシス誘導が可能であった。C2セラミドは、wild株、多剤耐性株、catalase耐性株のcatalase活性を濃度依存的に抑制した。又、SOD活性の抑制も認められた(第59回日本血液学会総合発表)。セラミドによる活性酸素除去系の調節がアポトーシス誘導に重要な役割をはたしていることが示唆された。非白血病並びに白血病患者骨髄液より単核細胞分画を分離し、24時間培養し前後で細胞内セラミド量をDGK assay法にて測定した。24時間培養にてアポトーシス細胞の増加、細胞内セラミド量の増加が認められた。しかし、臨床的に難治性となった患者さんからの単核細胞は、24時間培養にて非白血病並びに非難治性患者由来単核球に比しアポトーシスが誘導されにくく、またセラミド量の増加(変化)も乏しい傾向が認められ、セラミド産生と薬剤耐性との関連が示唆された(第59回日本血液学会総合発表)。又、セラミド誘導アポトーシス時にPKCδとεが膜分画より細胞質へ移行することが認められた。その移行はTPAにより拮抗され、同時にアポトーシスも阻害された(26th Congress of the International Society of Haematology発表)。
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