アポトーシス阻止に作用する遺伝子FAP-1の解析

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08671250
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 自治医科大学
• 研究代表者: 畠 清彦 自治医科大学, 医学部, 助教授 (80192699)
• 研究分担者: 星野 充明 自治医科大学, 医学部, 助手 (70275692) ; 大月 哲也 自治医科大学, 医学部, 助手 (60275691) ; 角田 純一 自治医科大学, 医学部, 助手 (20245054)
• キーワード: FAP-1 / Fas / アポトーシス / シグナル伝達 / HIV

研究概要

血液幹細胞を含む分画の一つとしてCD34^+CD33^-細胞におけるFAP-1遺伝子の発現を、さらに分化した分画と比較してReverse Transcription Polymerase Chain Reaction(RT-PCR)で検討した。未分化な細胞ほど発現量が多い事が予想されたが、差違を認めていない(投稿準備中)。分化によりFAP-1遺伝子の発現が白血病細胞でどう変化するのか検討中である、我々は分化により新しい遺伝子が出現することを見出し、報告した。現在アポトーシスに関与する遺伝子との変化や蛋白レベルでの変化を検討するため大腸菌に発現したものを精製したもの、合成したペプチドによりウサギに免役したポリクローナル抗体を作成中である。骨髄異形成症候群や白血病、リンパ腫での検討を考えている。他に種々の疾患における血清Fasリガンド濃度を共同研究により測定し、T,NK細胞性腫瘍で高値であることを報告した。HIV患者での測定が、種々の段階でのAIDSで要求されている。他にFAP-1との関連で、シグナル伝達に関する研究によりTecの関与について研究した。
FAP-1に関連して、コロニー形成単位をつりあげて、FADD、RIP、ICEなどの遺伝子発現を検討したが、bcl-x差違を認めており、血液系でのアポトーシスの制御はFas系とbcl-xが重要と考えられた。
また新しくアポトーシスを誘導する蛋白の精製を行った。
HIVウイルスのエントリ-にはCD4とfusin(CCKR5)という分子両方の存在が必要であり、精製蛋白がこれらとどう関与するのか検討中である。
白血病やT細胞性リンパ腫において精製蛋白とFAP-1との相互作用を検討中である。
精製蛋白の受容体及びシグナル伝達機構は未解明であるが、FACSを用いて解析する.Fas抗原(CD95)及びTNF受容体との動きについて検討を考えている。

研究成果

• [文献書誌] Hatake,K.,et al.: "Rare but important adverse effect of all-trans retinoic acid in acute promyelocytic leukemia." Int.J.Hematol.(in press). (1997)
• [文献書誌] Ohtsuki,T.,Hatake,K.,Ikeda,M.,Temizuka,H.,Torui,Y.,Uwai,M.,Miura,Y: "Expression of Src-like adapter protein mRNA is induced by all-trans retinoic acid." Biochem.Biophys.Res.Comm.(in press). (1997)
• [文献書誌] Miyazato,A.,Yamashita,Y.,Hatake,K.,Miura,Y.,Ozawa,K.,Mano,H.: "Tec protein tyrosine kinase is involved in the signaling mec hanism of granulocyte colony-stimulating factor." Cell Growth & Differentiation.7. 1135-1139 (1996)
• [文献書誌] Izuml,T.,Ohtsuki,T.,Ohya,K-I.,Ogawa,Y.,Yoshida,M.,Muroi,K.,Imagawa,S.,Hatake,K.,Kuriki,K.,Saito,K.,Miura,Y.: "Therapy-related leukemia with a novel 21q22 rearrangement." Cancer Genet Cytogenet.90. 45-48 (1996)
• [文献書誌] Hatake,K.,Ohtsuki,T.,et al.: "Tretinoin induces bone marrow collagenous fibrosis in acute promyeiocytic leukaemia : New adverse effect but reversible." Brit.J.Haematol.93. 646-649 (1996)
• [文献書誌] Tanaka,M.,Suda,I.,Haze,K.,Nakamura,N.,Sato,K.,Kimura,F.,Motoyoshi,K.,Mizuki,M.,Tagawa,S.,et al.: "Fas ligand in human serum." Nature Medicine.2. 317-322 (1996)