研究課題/領域番号 |
08671265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
塚田 順一 産業医科大学, 医学部, 助手 (20227367)
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研究分担者 |
三砂 將裕 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (30157474)
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | インターロイキン1 / 成人T細胞性白血病 / Tax蛋白 / 転写 |
研究概要 |
HTLV-I遺伝子産物であるTax蛋白の発現ベクターを用いて血液細胞にTax蛋白を発現させ、血球におけるヒトproIL-1β遺伝子プロモーター活性の変化をCATアッセイにて測定した。Tax未発現の細胞ではヒトproIL-1β遺伝子プロモーター活性をほとんど認めることができなかったが、Tax蛋白発現により極めて強いプロモーター活性の誘導を認めることができた。このようにHTLV-I感染および成人T細胞性白血病において、HTLV-Iウイルスreplicationに伴いTax蛋白が細胞内で発現されると、ヒトproIL-1β遺伝子転写が誘導されることを示すものであった。 近年、細菌由来であるエンドトキシン刺激におけるヒトproIL-1β遺伝子発現はNF-IL6、CREB、NF-kB、NF-β1(Stat-like)及びSpi-1の核内転写因子により調節されていることが報告されているが、本研究では、さらにヒトIL-1β遺伝子プロモーターにおけるHTLV-Iウイルスが標的とする塩基配列や核内転写因子の同定及びTax蛋白と核内転写因子の相互作用を検討した。プロモーター上のNF-IL6及びSpi-1の結合領域にmutationを入れることにより、Taxのプロモーター誘導をブロックすることが可能であり、TaxはproIL-1β遺伝子プロモーターのこれらの塩基配列を認識していることが考えられた。また、Taxは、プロモーターに直接には結合せず、NF-IL6及びSpi-1蛋白のプロモーターDNAへの結合を誘導することを示した。さらに、このTaxによる核内転写因子のプロモーターDNAへの結合誘導は、Tax蛋白とNF-IL6及びSpi-1蛋白が結合することにより、生じていることが明らかとなった。 以上、HTLV-Iウイルス感染において感染細胞は、OD4陽性T細胞にとどまらず、単球マクロファージ、Bリンパ球、線維芽細胞、microglial cellや関節滑膜細胞に及んでいる。HTLV-IウイルスDNAにコードされたTax蛋白が核内転写因子との相互作用を介してヒトproIL-1β遺伝子転写を誘導する事実は、上記細胞におけるIL-1の異常産生のメカニズム考察する上で意味あるものと考えられる。
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