活性酸素の異常とピューロマイシン腎症:新しい活性酸素測定法によるその機構の解明

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08671272
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 青柳 一正 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40114029)
• 研究分担者: 永瀬 宗重 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10189128)
• キーワード: Nephrose / Puromycin aminonucleoside / protein kinose C / adenosine / adenosine deaminase / reactive oxygen / Kidney / methylguanidine

研究概要

1.Puromicin aminonucleoside (PAN)によるネフローゼ発症機構とCa依存性蛋白リン酸化酵素(PKC)の検討。
私共は、既にPANが活性酸素によりクレアチニンから産生されるメチルグアニジン(MG)の産生を促進することを単離肝細胞やラットなどで報告し、PANの作用が活性酸素の酸性促進と関連していると提唱してきた。また、MGの単離肝細胞によるMGの産生はPKC阻害剤H-7によって完全に阻害されることから、PKCの活性化が生体内でも生じているのか否かについて検討した。
PAN投与後45分で腎のPKCの活性化(PKCの膜へのtranslocationを調べた)が起こり、数時間後には投与前の状態に戻り、7日後には再び活性化が認められた。肝臓では7日後のPKCの活性化は認められたものの、早期の活性化は認められなかった。
2.PANの作用にはアデノシンデアミネースによる代謝は必要か。
PANによるネフローゼの発症はアデノシンデアミネースの投与により阻止される事からネフローゼの発症にはPANがアデノシンデアミネースにより代謝されることが必要との考えがある。in vitroで両者を反応させてもPANの分解は起こらず代謝されることの可能性は低いと考えられ、反応後のPANでも同様にネフローゼが起こった。
我々の見いだした45分でのPKCの活性化はPANによる現象の中でもっと早期に起こっており、ネフローゼの原因に近いと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] 青柳一正.他: "グアニシツ化合物から見た活性酸素と腎障害" 日腎会誌. 39. 47-47 (1997)
• [文献書誌] Aoyagi K.et al.: "Synthesis of guanidinosuccinate from argininosucurate and reactive oxygen in vitro" Enzyme & Protein. 49. 199-204 (1996)
• [文献書誌] Aoyagi K.et al: "Role of reactive oxygen and argininosuccinate in guandino succinat synthosis in isolated rat bepatocytes" Enzyme & Protein. 49. 205-211 (1996)
• [文献書誌] Aoyagi K.et al.: "Inhibition of mettuylguondine synthesis in isolzted rat hepufery los by protein kinase C inhibitor and calmodolin antdgonst" Guanidine 3. in press.
• [文献書誌] 青柳一正,他: "我々の発見したヘパリンによる実質細胞の活性酸素産生の抑制作用 : Protein kinase Ca活性化との関連" 腎臓. 19. 97-102 (1997)
• [文献書誌] 青柳一正,他: "TryptophanおよびFudoxyl sulfeteの単離肝細胞におけるクレアチニンの過敏化に対する作用" 腎不全. 8. 91-94 (1996)
• [文献書誌] Aoyagi K.: "Method in Molecular Bioloby : Techniques for the measormeut of oxidftive stress" Method in Moleculo Biology : HOMANA Press (in press),
• [文献書誌] 青柳一正: "腎とフリーラジカルIII" 東京医学社(in press),