1.水チャネルの1つであるアクアポリン3(AQP3)の腎臓内での局在の免疫組織化学的に調べた。AQP3は集合尿細管、特に髄質および乳頭部集合尿細管の血管側膜に特異的に分布していることが判明した。また、脱水によってAQP3の産生が増加することが、mRNAおよび蛋白レベルで確かめられた。 2.AQP3の水チャネル機能は水銀によって阻害される。この、水銀による阻害部位を変異型AQP3を作製して調べたところ、cysteine-11であることが判明した。さらに、変異型AQP3を用いた検討により、AQP3の水チャネル孔の構造がAQP1および2に類似していることが確かめられた。 3.AQP3は、水のみならずグリセロールや尿素といった小分子を通すことが知られている。AQP3の水銀感受性と変異型AQP3を用いた検討から、水と小分子は共通の孔を通ることが示唆された。 4.サブトラクション法を用いて、腎臓特異的に発現する遺伝子(おそらく、その断片)を得た。現在、遺伝子の全長をとり、塩基配列を確認している。今後、機能についての検討を行う予定である。
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