研究課題/領域番号 |
08671278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
荒川 正昭 新潟大学, 医学部, 教授 (80069012)
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研究分担者 |
上野 光博 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90260546)
成田 一衛 新潟大学, 医学部, 助手 (20272817)
西 慎一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70251808)
中川 洋一 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (80211415)
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キーワード | 慢性糸球体腎炎 / IgA腎症 / Haemophilus parainfluenzae / 慢性関節リウマチ / アミロイドーシス / 実験腎炎 / 糸球体硬化 / 遺伝子 |
研究概要 |
本年度、私たちは、慢性腎不全の原因となる原発性糸球体腎炎のうちで最も多いヒトIgA腎症の発生機序に関して、H.parainfluenzaeに対する抗体がIgA腎症患者の腎糸球体に沈着していることを報告し、本菌の菌体外膜成分に対するIgA抗体の産生調節における異常がIgA腎症の発症に関与していることを報告した。 また、二次性の慢性腎障害については、慢性関節リウマチに伴うアミロイドーシスは進行性で予後不良であるが、リウマチ患者のうちアミロイドーシスを伴う患者では、apolipoproteinのE4 isoproteinを有する頻度が高く、アミロイドーシスの発症にapolipoprotein E4が関与している可能性があることを報告した。 従来、実験腎炎で使われてきた動物モデルは、急性・一過性の経過を示すものが殆どであった。これらのモデルを用いた研究により、様々な炎症のメディエータやサイトカイン、成長因子などが糸球体病変の形成に関わっていることが明らかにされてきた。しかし一方では、ヒトの腎炎の多くが、何故、慢性・進行性の経過を辿り、腎機能低下をきたすのかは不明である。 本年度、私たちは、ラットに片側腎摘出後に抗Thy-1.1抗体を静注することによって、慢性・進行性の糸球体腎炎を惹起することが出来ることを証明し、このモデルと、急性・一過性モデルの各々の腎臓の間で著しく発現量に差のある遺伝子を、subtraction法を応用して単離することに成功した。今後これらの遺伝子を同定し機能を解析することによって、腎炎の慢性化の機序が明らかになることが期待される。さらに、これらの遺伝子の発現調節機構を解明することによって、現在特異的な治療法が無いに等しい慢性腎炎に対して、より特異的かつ有効な治療法が開発される可能性もある。これらの研究成果は、平成9年度日本腎臓学会総会などで発表する。
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