研究課題/領域番号 |
08671280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 亨 福井医科大学, 医学部, 助教授 (00206484)
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研究分担者 |
下条 文武 福井医科大学, 医学部, 教授 (20126410)
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キーワード | IgA nephropathy / Haemophilus parainfluenzae / outer membrane / tonsil / mucosal immunity / lymphocyte function |
研究概要 |
本研究では、IgA腎症の発症の病因としてのIgA型免疫複合体の原因抗原として、Haemophilus parainfluenzae(HP)の外膜成分に焦点を絞り、本症患者の扁桃組織中リンパ球の、HPの外膜抗原に対する免疫応答を解明することを目的とし、研究を遂行した。そのため、研究実施計画に沿って、IgA腎症例と他の糸球体疾患例において、HPの外膜構成成分に対する、患者の扁桃組織中リンパ球の免疫応答を、サイミジンの取り込み実験により検討し、さらに、患者唾液中の免疫グロブリン濃度およびIgA型抗HP抗体を測定し、以下に示す新たな知見を得た。 1.IgA腎症患者および他の糸球体疾患患者の扁桃組織中リンパ球を、HP菌体外膜抗原にて刺激し、サイミジンの取り込みの測定を行った結果、IgA腎症患者における刺激指数(Stimulation Index: SI)は、他の糸球体疾患患者における刺激指数に比して、有意に高値を示した。 2.唾液中IgA型抗HP抗体価/唾液中IgA濃度の値は、IgA腎症患者群および他の糸球体疾患患者群の間において、有意な差は認められなかった。 3.唾液中IgA型HP抗体価/唾液中アルブミン濃度の値は、IgA腎症患者群では他の糸球体疾患患者群に比して有意に高値を示した。 以上より、IgA腎症患者においては、扁桃組織中リンパ球のHP菌体外膜抗原に対する免疫応答が亢進しており、その結果としてIgA腎症患者の唾液には、他の糸球体患者の唾液に比して、IgA型抗HP抗体が有意に高値に存在することが考えられた。これらのことから、IgA腎症の発症機序において、HP菌体外膜抗原が扁桃を中心とした局所免疫機構にとり重要な役割を果していること、との結論を得た。
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