研究課題/領域番号 |
08671281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
米村 克彦 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40252176)
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研究分担者 |
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
池谷 直樹 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (80283357)
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キーワード | TGF-β / LTBP / TGFβ type I,II,III receptors |
研究概要 |
糸球体腎炎の進展におけるTGF-βの発現、活性化とその調節機序解析を目的としてヒト糸球体腎炎、抗胸腺細胞抗体(ATS)腎炎におけるTGF-β、latent TGF-β binding protein(LTBP)、TGF-β type I、II、III receptors(TβRI、TβRII、TβRIII)の蛋白、mRNAの発現を免疫染色、In situ hybridizationにて検討した。さらにATS腎炎では、単離糸球体におけるTGF-βに対する反応性を調べる目的で外因性に投与したTGF-βに対する細胞増殖抑制と細胞外基質産生の変化を、各々^3Hthymidineと^3Hprolineの取り込みにより検討した。ヒト腎炎のうち、微小変化群では、TGF-βの発現は弱く、同様にfibronectin、LTBPの発現もごく軽度であった。一方、IgA腎症、巣状糸球体硬化症では糸球体内、尿細管間質のfibronectinの沈着増加部位に一致してTGF-β、LTBPの発現の増加が認められ、TGF-βはlarge latent typeとして分泌され、障害部位で活性化されている可能性が示唆された。ATSの一回静注による一過性メサンギウム増殖性腎炎モデルではメサンギウム細胞の増殖時に糸球体においてTGF-β、LTBP、fibronectin、TβRI、TβRIIIの増加が認められたがTβRIIは増殖メサンギウム細胞での発現増加はなく、その後、腎炎は改善していった。一方、2回静注による慢性進行性のATS腎炎モデルではTGF-β、TβRI、II、IIIが糸球体と尿細管間質に持続的に発現し、糸球体硬化と間質線維化が慢性に進行していった。ATS単離糸球体における外因性TGF-βに対する^3Hthymidineと^3Hproline取り込み率は一過性のATS腎炎では増殖期でTGF-βへの反応性が低下し、慢性進行性ATS腎炎では反応性が持続性に亢進しており腎炎の慢性化にTGF-βによるTβRIIの発現の変化が関与している可能性が示唆された。
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