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1997 年度 研究成果報告書概要

メサンギウム増殖性腎炎における血管透過性亢進因子の役割に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08671286
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 腎臓内科学
研究機関神戸大学

研究代表者

飯島 一誠  神戸大学, 医学部, 助手 (00240854)

研究分担者 吉川 徳茂  神戸大学, 医学部, 教授 (10158412)
研究期間 (年度) 1996 – 1997
キーワード血管透過性亢進因子 / 血管内皮細胞増殖因子 / 腎生検 / メサンギウム細胞 / α-Smooth muscle actin / メサンギウム増殖性腎炎
研究概要

血管透過性亢進因子(VPF/VEGF)は正常腎では糸球体上皮細胞により産生され、血管透過生亢進作用、血管内皮細胞増殖作用、Monocyte/macrophage遊走、活性化作用などを持つ糖蛋白である。我々は、in vitroでヒト培養メサンギウム細胞がVPF/VEGFを産生するpotentialを持ち、その活性化によりVPF/VEGFの産生が亢進することを明らかにした(Kidney Int44:959-966,1993)。しかし、in vivoでもVPF/VEGFを産生するのか、その産生がどのような病態生理学的な意義を持つのかは依然として明らかではない。そこで我々は、メサンギウム増殖性腎炎(PGN)を中心とした腎疾患患者(n=83)および正常腎(n=7)を対象とし、その腎生検検体を用いて、1)間接蛍光抗体法、2)cRNAプローブを用いたin situ hybridization法によりVPF/VEGE産生細胞を同定し、その発現の程度と組織学的所見および臨床所見との関連を検討した。その結果、正常腎やPGN以外の腎疾患では、大半の糸球体は従来報告されているように糸球体上皮細胞にVPF/VEGFを認めた。一方、PGNの一部の症例では、糸球体上皮細胞だけでなくメサンギウム領域にも強いVPF/VEGF蛋白の発現を認め、1)二重染色法による解析で、VPF/VEGF蛋白は、活性化メサンギウム細胞のマーカーであるα-smooth muscle actin(αSMA)蛋白の発現パターンと一部一致し、2)in situ hybridization法でVPF/VEGF mRNAが陽性の細胞の一部がαSMA蛋白を発現していたことより、活性化メサンギウム細胞もVPF/VEGFを産生していると考えられた。中等度以上のメサンギウム増殖を認めるPGNに関して、メサンギウム増殖のタイプをA群:メサンギウム細胞の増加が基質の増加に比して優位であるもの、B群:メサンギウム細胞の増加と基質の増加が同程度であるもの、C群:メサンギウム基質の増加が細胞増加に比して優位であるものの3群に分類し、メサンギウム細胞によるVPF/VEGFの発現との関係を検討したところ、発症早期のPGNの特徴的な病理像であるA群では、他群やコントロールに比してメサンギウム細胞によるVPF/VEGFの発現が有意に亢進していた(p<0.01vs.正常腎、病的コントロール、B群、p<0.05vs.C群)。また、メサンギウム細胞によるVPF/VEGFの発現を認める例では認めない例に比して、発症から腎生検までの期間が有意に短かった(p<0.01)。以上より、メサンギウム細胞によるVPF/VEGFの発現は早期のPGNの特徴であり、その進行や治癒過程に何らかの役割を持つ可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Iijima K et al.: "Multiple combined therapy for severe Henoch-Schonlein nephritis in children" Pediatric Nephrology. (印刷中).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 飯島 一誠 他: "活性化メサンギウム細胞による血管透過性亢進因子(VPF/VEGF)の産生とその病態生理学的意義" 日本小児腎臓病学会雑誌. 10(1). 22-25 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Iijima K et al.: "Activation-induced expression of vascular permeability factor by human peripheral T cells:a non-radioisotopic semiquantitative reverse transcription-polymerase chain reaction assay" Journal of Immunological Methods. 196. 199-209 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 飯島 一誠: "小児期IgA腎症の発症進展機序と最新の治療法" 日本小児科学会雑誌. 100(9). 1445-1448 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Iijima K.et al.: "Multiple combined therapy for severe Henoch-Schonlein nephritis in children." Pediatric Nephrology. (in press.).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Iijima K.et al.: "Activated mesangial cells produce vascular permeability factor/vascular endothelial growth factor (Japanese)" The Journal of the Japanese Society of Pediatric Nephrology. 10 (1). 22-26 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Iijima K.: "Childhood IgA nephropathy : the mechanisms of progression and a new effective therapy (Japanese)" The Journal of the Japan Pediatric Society. 100. 1445-1448 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Iijima K et al.: "Activation-induced expression of vascular permeability factor by human peripheral T cells a non-radioisotopic semiquantitative reverse transcription-polymerase chain reaction assay." Journal of Immunological Methods. 196. 199-209 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-16  

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