現在でもfibrinogen(Fbg)とfibrinとの細胞に対する機能的差異については不明な点が多い。その為我々はfibrinの新しい細胞接着アッセイ系を開発に着手し、一年後、今迄にない精密なアッセイ系の開発に成功した。そしてこの系を用いることにより、Fbgが細胞接着活性を発現するためには、Fbgの中央E domainを被覆するAα鎖C末領域(αC)がE domainより遊離し、E domainに連続して存在する接着活性中心の露呈が必須あることを世界で初めて示した。さらに驚くべき事実として、fibrin-monomerはαvβ3Integrinのみでなく、fibronectin receptor(α5β1)をも認識するよう、receptorのselectionがかかることを発見した。この成果を論文として、J.Biol.Chem.に本年3月に発表予定である。さらに我々は、fibrin-monomerに特異的に反応するモノクロナール抗体の作製に成功した。これらを用いて、腎臓内科と協同研究で、メサンギウム細胞のvitronectin receptor(αvβ3)との反応様式についてのin vitroの実験や糸球体腎炎患者の腎生検組織について、予後との比較を検討している。
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