研究概要 |
皮質部集合管(CCD)におけるドパミン(DA)作用 1 受容体サブタイプ 単離潅流した兎CCDにおいてDAが基底膜側(b-)及び管腔側(1-)から明瞭な経上皮電位(Vt)脱分極作用を呈すことを見いだしたので、b,l-DA受容体タイプの特定を行った b-DAによる脱分極はDA-1受容体拮抗薬SCH23390で抑制されず、DA-2受容体拮抗薬domperidoneで抑制された。更に、DA-1受容体刺激薬SKF81297基底膜側投与ではVtは変化せず、DA-2受容体刺激薬bromocryptineでDA同様の脱分極を生じた。よってウサギCCDにおいてb-DAはDA-2受容体familyを介してVt、Na輸送を変化させると考えられた。 1-DAによる脱分極はSCH23390で抑制され、domperidoneでは影響を受けず、また1-SKF81297が脱分極を来す一方、1-bromocryptineはVtを変化させなかった。よってl-DAはDA-1受容体familyを介して作用すると考えられた。 2 受容体サブタイプ b-DAのVt脱分極作用は基底膜側ouabain或いは管腔側amilorideで抑制されることから、基底膜側DAはNa輸送抑制によると推定され、23Naをtracerとして用いたflux studyでも管腔側から基底膜側へのNa輸送が、基底膜側DAで抑制されることが確認された。 一方1-DAによる脱分極はb-DAによる脱分極に比し作用発現に10倍以上の高濃度(>10μM)を要しかつ脱分極の程度も弱いので生体内でNa輸送調節を大きく変化させる可能性は乏しいと思われる。尚1-DAはCCDの水透過性を軽度だが有意に上昇させたことから1-DA-1受容体は一般的DA-1受容体同様、細胞内cAMP産生を増加させるとが推測された。
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