研究課題/領域番号 |
08671301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
内田 俊也 帝京大学, 医学部, 講師 (50151882)
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研究分担者 |
霜村 昌彦 帝京大学, 医学部, 助手 (60276730)
長瀬 光昌 帝京大学, 医学部, 教授 (00010124)
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キーワード | エンドセリン / メサンギウム細胞 / 急性腎不全 / メッセンジャーRNA / TGF-β / 虚血再潅流 / ノックアウトマウス / スーパーオキシドディスムターゼ |
研究概要 |
1.培養メサンギウム細胞 ノックアウトマウスの由来のメサンギウム細胞の培養はラットの場合に準じて行った。しかし最初からノックアウトマウスを使用することはせずにコントロールマウスであるC57BL/6Jの腎臓を用いた。ラットの場合に準じてメッシュによる篩い分けにて単離糸球体を得、DMEM+10%仔牛胎児血清(FCS)培地にて37℃、5%CO2下に孵置した。数日中に紡錘形のメサンギウム細胞が遊走し増殖するが、数代継代するうちに増殖能が低下することが多く実験に供するまでに至らないことが多い。培地にインスリン、トランスフェッリン、PGE1などを添加して安定した細胞を得ることが出来るよう工夫中である。このようにして得た培養メサンギウム細胞を用いて、ET-1の基礎分泌、ET-1 mRNA量、DNA形質などについて解析する。その後TGF-β、インターロイキン(IL)-2や-6などによる影響を同週齢のコントロールマウスであるC57BL/6J由来の培養メサンギウム細胞と比較検討する。2.急性腎不全モデル 臨床的にエンドセリンの関与が注目されている急性腎不全での研究は、虚血-再潅流モデルを作成し、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)・エンドセリン発現の関連において検討した。そのためまずラットの虚血-再潅流モデルを用いて基礎的検討を行った。腎糸球体・尿細管の内因性SODは虚血-再潅流2時間後に著しく減少していることが共焦点レーザー顕微鏡にて観察された。そこで外因的にSODを投与してみることにした。しかしながらSODの血中半減期は極めて短く、大量注射しないと効果は期待しづらい。そこでSODをレシチン化することによって細胞への吸着性を高め効果が少ない量でかつ持続するように工夫した。24時間後の血清Crは前値の3倍に上昇し、Shamラットでは変化なかった。このモデルを用い、レシチン化SODを静注した場合、血清Crの上昇は用量依存性に抑制された。レシチン化しないSODを使用した場合に比較し、1桁以上効果が増大した。さらにレシチン化SODを静注するタイミングを検討したところ、虚血1時間前、虚血直前、再潅流直前、再潅流1時間後の4点では有意な差はなく、再潅流後に静注しても効果が見られたことはきわめて興味深い。ここでみられたようなことがET-1ノックアウトマウスでも検討することは興味深いと思われる。ただしマウスのモデルとなるためラットでの反応と異なる可能性はある。予備的実験では虚血-再潅流モデルがラットほどには安定したものが作成されない点が問題である。
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