平成8年度には、SD-ラットの妊娠第7日、第14日、出生日、生後3日、生後7日及び生後14日の腎(妊娠第7日及び14日に関しては体幹部)の腎と脳に発現しているaquaporin4(AQP4)のsplicing form(SF)及びnon-splicing form(NSF)との発現比率をquantitative RT-PCRとELISA法とを組み合わせた方法により検討し、出生前の発現量は非常に微量であるものの出生と同時に発現量が増大し、SFはNSFに遅れて発現が見られるようになることが明らかとなった。本年度は引き続きin situ hybridization法を用いて、発現部位の具体的部位についての検討を行った。すなわち各段階での凍結切片を作成し、SF、NSFそれぞれに対応したprobeをsubcloningにより作成、35Sでラベルしたものを用いた。それぞれ独立した実験を4回行い検討した結果、出生前のシグナルは尿濃縮力の未成熟に対応しごく微量であるものの、妊娠14日のラット腎のmetanephronにはSFのシグナルは確認されたが、NSFのそれは見いだされなかった。この結果はRT-PCR+ELISAによる検討結果に対応したもので、出生前のAQP4は主としてSFとして発現し、出生を境にSFからNSFへのスイッチングがなされることが示唆された。
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