研究課題/領域番号 |
08671313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
大川原 明子 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 研究員 (30260277)
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研究分担者 |
有村 義宏 杏林大学, 医学部, 講師 (40222765)
山河 芳夫 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (50100102)
鈴木 和男 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 室長 (20192130)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | ANCA / 自己免疫疾患 / MPO / アセアノスタチン |
研究概要 |
1) モデル動物の検討 本来血中には検出されないMPO活性、MPO-ANCAが、抗GBM腎炎ラットおよびアジュバント関節炎ラットの血漿中で高値を示した。MPO活性、MPO-ANCA価のいずれも高値を示した抗GBM腎炎ラットでは、尿中たんぱく量が有意に高く、また、アジュバント関節炎を発症しているラットの関節の浮腫率は無処置群に比較して有意に高かった。 2) アセアノスタチン(i-14:0)経口、腹腔投与に対する評価 アジュバント関節炎ラットに対して、アセアノスタチンを経口(20mg/kg)あるいは腹腔投与(30mg/kg)、血清中のMPO-ANCAへの影響について検討したところ、アセアノスタチン投与群で明らかな減少を認め正常レベルまで回復した。また、関節の腫脹の程度、牌臓・胸腺重量の変化、血清の生化学的変化等を指標としてその臨床効果について評価したところ、腹腔内投与によって、体重増加の抑制の改善、白血球増加の抑制、足浮腫の抑制、骨破壊の抑制が認められたが、溶媒投与群(コントロール群)でも同様の薬理作用がみられた。腹腔内投与という処置自体により、腹腔で炎症がおこり、その影響で見かけ上の抗炎症作用が出た可能性が考えられる。従って、アジュバント関節炎に対する経口、腹腔両投与法では、アセアノスタチンによる治療効果は弱いものと判断された。血中のアセアノスタチン濃度が十分上昇していない可能性もあるが、現在その定量法については確立していないため検討する必要がある。さらに、抗GBM腎炎発症モデルラットについてもアセアノスタチンの効果の評価をする予定である。以上のことから、1)アジュバント関節炎モデルマウスでは、MPO-ANCAが上昇した。2)アセアノスタチンの経口および腹腔投与により、MPO-ANCAが正常レベルまで減少した。3)血管炎、腎炎でMPO-ANCAはリスク因子になっており、アセアノスタチン投与でMPO-ANCAが減少したことは、病態改善にまで至らなかったものの、病態のリスクを軽減したことであり、アセアノスタチンの臨床応用に一歩前進したことを意味している。また、臨床でのMPO-ANCA値だけでは病態の重症度の指標にはならず、エピトープ解析が必要であると思われる。今後は、MPO-ANCAが高値を示したモデル動物のMPO-ANCAのエピトープ解析によるアセアノスタチンの評価をする必要があり、血管炎患者の治療法の検討との関係を明らかにするためにも重要であると思われる。
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