胎児の運動は低酸素負荷により消失することが知られているが、その抑制メカニズムについては明らかにされていない。本研究は、脊髄後索電位を測定することにより、ウサギ新生仔における低酸素負荷時の脊髄機能を明らかにしようとするものである。 ニュージーランドウサギ新生仔を用いて脊髄後索電位を測定し、低酸素負荷による変化を観察し、さらに上位脊髄の切断が脊髄後索電位に及ぼす影響について検討した。 ハセロン麻酔下で椎弓を切除した後に電極を脊髄表面に留置し、レベル1(反応がでる刺激閾値)、レベル2(レベル1の1.5倍)、レベル3(レベル1の2倍)の強度の刺激を坐骨神経に加え、後策電位を記録した。軽度・中等度の低酸素負荷を加えた条件下で同様の記録を行った。さらに、頚髄のレベルで脊髄を切断した後に同様の実験を行った。未処置ウサギにおいては、レベル2刺激による陰性波の遅延時間は中等度の低酸素負荷により有意に延長し、レベル3刺激でも延長する傾向が認められた。陰性波の振幅、陽性波の遅延時間・振幅に関しては、変化が認められなかった。 脊髄切断ウサギでは、低酸素による陰性波の遅延時間に対する影響は認められなかった。一方、陰性波の振幅は低酸素負荷により減少する傾向が認められた。また、陽性波の遅延時間はレベル2・3刺激において、低酸素負荷で有意に減少した。
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