研究課題/領域番号 |
08671320
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
小川 雄之亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90080126)
|
研究分担者 |
金子 広司 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30224596)
板倉 敬乃 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70223071)
荒川 浩 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (90271238)
中村 利彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30255137)
清水 浩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90260843)
|
キーワード | 新生児 / 肺サーファクタント / 機能的欠如 / 急性呼吸窮迫症候群 / スーパーオキシドジムスターゼ / 肺機能 / 活性酸素 |
研究概要 |
従来は新生児の呼吸窮迫症候群(Respiratory distress syndrome:RDS)に類似するところから、成人型呼吸窮迫症候群(Adult respiratory distress syndrome:ARDS)と呼ばれていた病態は、新生児や乳児にも特に敗血症などに伴って見られることが多く、現在国際的に急性呼吸窮迫症候群(Acute respiratory distress syndrome:ARDS)と呼ばれている。本症候群における肺サーファクタントの機能的欠如の意義とその機序を解明し、さらに効果的な治療法を確立するために、ヒト新生児に最も近いとされている新生仔豚を用いて、エンドトキシン(Lipopolysaccharide E. coli 0111:B4,以下LPS)投与による新生仔動物ARDSモデルを作成し、活性酸素が本症候群における肺障害に大きく関与していることをこれまでの研究で証明した。本年度はさらに効果的な予防、治療法の確立の観点から、Superoxide dismutase(SOD)投与による効果について検討した。 LPS径気道投与によるARDS発症10分前にリコンビナントヒトSOD(rh-SOD)5もしくは20mg/kgの予防的径気道投与群、LPS径気道投与によるARDS発症後90分にrh-SOD20mg/kg径気道投与群について、動脈血液ガスと肺コンプライアンスの径時的変化、抹消血好中球の径時的変化、BALF中の細胞分析、顆粒球エラスターゼ、TNF-α、過酸化脂質、活性酸素、肺組織所見、を対照群と比較検討した。対照群に比してrh-SOD予防投与群で、肺コンプライアンスは有意に高く、動脈血液ガス値も良好で、BALF中の過酸化脂質も有意に低値を示した。また、肺の組織学的検討でもrh-SOD予防投与群で対照群に比して障害はより軽度であった。但し、ARDS発症後のrh-SOD径気道投与では肺障害軽減効果は認められなかった。以上の成績から、エンドトキシンによって惹起されるARDSにおいて、rh-SODの径気道投与は肺障害予防効果のあることが明らかにされた。
|