我々は先にヒトのアロマターゼ遺伝子の胎盤特異的なプロモーターこのなかに、hCGα-subunitのプロモーター中と同じシスエレメント(TSE)が存在し、胎盤特異的な、異なる遺伝子が共通する機構で制御されている可能性をしめしたが、このエレメント単独では、エンハンサー活性はもたない。本研究ではアロマターゼ遺伝子について第二のシスエレメントを見い出し、この2つがあれば、最小のエンハンサーとして、機能することをあきらかにした。この第二のエレメントへの結合活性は第一のエレメントへの結合活性(TSEB)とは異なるタンパクであるが、やはり胎盤とtrophoblastにのみ認められた。このエレメントはhCGβsubunit 遺伝子のプロモーター上にも認められた。 アロマターゼのp胎盤での発現に必須のこれら2つの結合タンパクのクローニングをyeast one-hybrid法によって、ヒト胎盤cDNAlibraryより行った。その結果、第二のエレメントについて数種のクローンを得た。これらをbaculovirusの発現系で発現させ、その1つがtrophoblast中の結合活性と同じ結合特異性をしめす、核タンパクをコードしていることを確認した。このcDNAクローンは、全長2.6Kbpで、436aaからなる49213Daのタンパクをコードしていた。またノーザンブロット解析により、これに対応する大きさのmRNAが胎盤にのみ認められた。この胎盤特異的な核タンパクが胎盤特異的な転写因子であることが期待されるが、アミノ酸一次構造は既知の転写因子の転写活性部位とは異なっており、転写活性の確認が今後の課題となった。
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