研究概要 |
[目的]膵臓外科において、機能温存を目的とした縮小手術のために部分膵機能の評価が課題となっている現状を背景として、^<11>C-Methionineをトレーサーとした、positron emission tomography (PET)を用いて、膵のアミノ酸代謝を画像化して部分膵機能評価を試み、その臨床有用性の検討を目的とした。 [対象]正常膵16例、慢性膵炎5例、膵手術施工21例。 [方法]院内サイクロトロンを用い、^<11>C-Methionineを合成し、10mCiを静注後30分にて膵への集積をPETにて画像化し、differential absorption ratio (DAR)を用いて定量評価し、膵への^<11>C-Methionineの総集積と,PFD test による外分泌能の評価、および75gOGTTによる内分泌能の評価と比較検討した。また、マウスを用いて、^3H-Methionineを静注投与し、膵組織への^3H-Methionineの移行を各分画別に定量した。 [成績]^<11>C-Methionineの総集積度をみると、慢性膵炎は1837【.+-。】1354で正常膵4983±1903に比し有意に低値であった(p<0.01)。また、総集積度はPFD値と相関した(r=0.776,p<0.05)。また、総集積度は75gOGTTによるinsuinogenicindexとも相関していた(r=0.454,p<0.05)。また、膵頭部と体尾部で集積度の異なる症例も認め、手術法の選択の際に有用であった。マウスに投与した^3H-Methionineは膵組織中に経時的に摂取され、30分後には約50%がprotein分画に、10%がlipid分画に、40%がその他に移行し、^<11>C-MethioninePETの集積もほぼ蛋白合成を評価していると考えられた。 [結論]^<11>C-Methionineの膵集積度は、外分泌能および内分泌能と相関し、膵機能の画像的評価法として有用であるだけではなく、PETによる断層撮影により部分膵機能評価も可能であり、膵臓外科における縮小手術への臨床有用性が認められた。
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