ポリスルホン性のホローファイバーに、ラット膵より分離した膵島細胞を封入した人工膵臓を作成し、in vitroでインスリン分泌は確認できた。 しかしながら、糖尿病マウスの腹腔内に人工膵を移植したモデルでは、人工膵の機能を確認するには至っていない。 原因としては 1)Primary nonfunction すなわちグラフト(この場合人工膵)を移植しても、実際には機能が発現しない。 2)ラット膵細胞に対するマウス異種抗体は、ホローファイバーを通過できないが、分子量の小さいリンフォカインなどは膜を通過してしまい、拒絶反応がおこる。 3)細胞分離過程で膵細胞がダメ-ジを受けており、ホローファイバーに封入してマウス腹腔内に移植してもすぐに機能を発現しない。 などが考えられる。 今後の改良点としては、人工膵を作成後、2-3日培養して膵細胞の回復をはかってみたい。また、IL4を投与し、リンフォカインが関与する拒絶反応を抑制できないか検討してみる予定である。
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