研究課題/領域番号 |
08671339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲葉 毅 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272582)
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研究分担者 |
古川 聡 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
韓 一秀 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
不柄 和宏 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
井上 知巳 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
斎藤 英昭 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30134555)
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キーワード | 外科侵襲 / 免疫能 / 術後感染症 / 成長ホルモン / インスリン様成長因子- / マクロファージ / 好中球 / mRNA |
研究概要 |
外科侵襲時における従来の抗菌療法が行き詰まりを見せた今、宿主自身の免疫能賦活が重要な課題となっている。そこで本研究は、外科侵襲時の宿主免疫能改善方法の確立に向けて、免疫担当細胞のIGF-I autocrine,paracrineと侵襲の程度、免疫能との関連を明らかにすることを目的とする。平成8年度は、以下の研究実績を得た。 1、成長ホルモン(GH)やそのメジエータであるインスリン様成長因子1(IGF-1)前投与腹膜炎マウスモデルで、腹腔内炎症細胞を採取し、このE.coli殺菌能やオプソニンレセプター発現をみた。その結果、GHやIGF-1は炎症細胞のオプソニンレセプター発現を増強し、これら細胞のE.coli殺菌能を高めた。 2、手術患者の術前後で血中のGHやIGF-1濃度を測定した。手術前のIGF-1濃度が低い症例で腹腔内膿瘍や術後肺炎などの感染性合併症が発生しやすかった。また術後に感染性合併症の発生率が高い食道癌手術や肝硬変合併肝切除術では、術後のIGF-1濃度が低かった。 3、GHのin vitroでの好中球細胞死抑制効果を検討し、GHは好中球アポトーシスを抑制することが確認された。 4、マクロファージを培養し、そのIGF-1発現をみるためのRNAを精製する予備実験を行った。 以上、GHやIGF-1は外科侵襲時の宿主免疫能に関与していることが示唆された。次年度は、マクロファージや好中球のIGF-I-mRNA発現量と、侵襲時の免疫能との関連をに明らかにする。
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