アップルペクチンの大腸癌発生抑制と肝転移抑制メカニズムの解析

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08671343
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 富山医科薬科大学
• 研究代表者: 田澤 賢次 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80018887)
• 研究分担者: 前田 正敏 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30143861) ; 本田 昂 富山医科薬科大学, 医学部, 教授(副学長) (40019914) ; 竹森 繁 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30227061)
• キーワード: Apple pectin / 大腸癌発生 / 大腸癌予防 / 肝転移 / アップル、ペクチン / ペクチン / 食物繊維

研究概要

アップルペクチンにおいてもエステル化度により腸管内pH変化に差があり、高メトキシル(HM)と低メトキシル(LM)とにおける癌発生抑制効果をシュトラスペクチンと比較して検討した。
【対象と方法】アップルペクチン(AP)とシュトラスペクチン(CP)のエステル化度による癌発生抑制効果をみるために両者の高メトキシル(HM)と低メトキシル(LM)の20%含有基礎飼料を投与する4群とし、4週令の雄ドンリュウラットを用いAOM誘発大腸癌モデルとした。1週間基礎飼料(MM-3)で予備飼育した後に各々の20%HMおよびLMを投与した。AOMは7.4mg/kgを背部皮下に週1回、連続10週間注射し大腸発癌を誘発した。AOMと投与開始後30週で犠死解剖し、腫瘍発生率および個数を比較した。
【成績】腫瘍発生率は、20%HM-AP(n=20)で85%(17/20)、20%LM-AP(n=20)では75%(15/20)であった。20%HM-CP(n=19)では57.9%(11/19)、20%LM-CPは89.5%(17/19)であった。平均腫瘍個数は20%HM-AP(1.90±0.42)、20%LM-AP(2.35±0.51)、20%HM-CP(1.05±0.31)、20%LM-CP(3.11±0.64)であった。平均腫瘍面積は20%HM-AP(25.69±6.69)、20%LM-AP(9.90±1.87)、20%HM-CP(46.90±19.9)、20%LM-CP(13.84±3.35)である。
【結語】今回の大腸癌発生抑制実験では、最も高い抑制率はHM-CP群57.9%(11/19)であり、次にLM-AP群75%(15/20)であった。平均腫瘍個数においてもHM-CP群(1.05±0.31)が最も少なく、次はHM-AP群(1.90±0.42)であった。高メトキシル(HM)と低メトキシル(LM)の20%含有基礎飼料の投与では高メトキシル(HM)群において平均腫瘍個数が少ない傾向にはあるが有為の差を見い出せなかった。

研究成果

• [文献書誌] K.Tazawa,H.Okami,I.Yamashita,Y.Ohunishi,K.Kobashi,M.Fujimaki: "Anticarcinogenic action of apple pectin on fecal enzyme activities and muicsal or portal Prostaglandin E_2 levels in experimental rat carcinogenesis" Journal of Experimental and clinical Cancer Research. 15(1)(in printed). (1997)
• [文献書誌] K.Tazawa,H.Okami,I.Yamashita,Y.Ohnishi,K.Kobashi,M.Fujimaki: "Effect of Apple pectin on fecal enzune activities and Prostaglandin E_2 levels in Azoxymethane-induced rat colon" Proceedings of International Confeunce on Ford Factors-Chemistry and Cancer Prevention-. 1(in printed). (1997)
• [文献書誌] Y.Ohnishi,H.Fujii,F.Kimura,M.Fujimaki,K.Tazawa,I.Saeki: "Inhibitory effect of a traditional chinese medicine,Juzen-taiho to on progressive grpwth of weakly malignant clone cells derived from murine fibrosarcoma" Japanece Journal of Cancer Research. 87. 1039-1044 (1996)
• [文献書誌] K.Tazawa,H.Ohkami,I.Yamashita,Y,Ohnishi,M.Fujimaki: "Role of inflamination on AOM-induced rat colon carcinogenesis:Effects,of AApple pectine on AOM-induced colon carcihoma in rats" The 6th INternetional Symposium of the Sapporo Cancer Seminar. Abstrects. 64-65 (1996)
• [文献書誌] 大上英夫,田澤賢次,大西康晴,横山義信,山崎一麻,藤巻雅夫: "Azoxymethene 誘発ラット大腸腫病に対するアップルペクチンの抑制効果とそのメカニズム" 第51回日本大腸肛門病学会総会(青森). 抄録集. (1996)