新しく開発された種々の免疫抑制でも臨床的にはその効果が期待できない症例もあり、特に小腸移植においてはさらにその成績を改善するためには、新しいideaによる治療の開発が重要と考えられた。そこで、chimerismの発現と免疫寛容の獲得維持のメカニズムに着目して研究を進めて、新しい移植治療法の開発を目的に本研究を計画した。研究内容は、脾の免疫学的作用に注目して脾摘を加えた脾移植モデルを考案し、さらに生体部分移植を考慮して母子間脾移植モデルも作成し、脾移植片の生着の評価、chimerismの動態および免疫寛容獲得の指標として免疫組織学的分析し、興味ある結果が得られ、第5回世界小腸移植シンポジウム(ケンブリッジ、英国)で発表し、論文としてTransplantation Proceedingに掲載予定である。 さらに研究を進め、2次移植としてラットを用いて小腸移植モデルを作成し、脾移植の効果を評価を計画している。移植片の生着の評価、chimerismの動態および免疫寛容獲得の指標として免疫組織学的分析とともに、分子生物学的にも解析を進め、脾移植の効果のメカニズムの解明を行い新しい観点からの移植治療の開発を促進する。さらに小腸移植における、移植腸管の種々の病態での生理運動機能に関しても研究を行い、その生理運動と変化に関しても明らかにしていく。
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