研究概要 |
樹状細胞の誘導:健常人末梢血(HLA:A24)より単核球を分離し、1時間静置培養した後、付着細胞を取り出しこれを24時間培養する。このうちの半付着細胞をIL4;100ng/ml、GM-CSF;50ng/ml添加培地にて培養した、このうち一部の細胞は培養日数を経るにつれ樹状突起を延ばしつつ成長した。培養7日目にフローサイトメトリーにてCD83陽性細胞の発現を確認した。 樹状細胞を用いた活性化リンパ球の誘導:健常人末梢血(HLA:A24)より得られた樹状細胞を凍結融解したMKN45(HLA:A24)で2時間パルスしたのち、あらたに採取したPBMCと混合し、抗 CD3抗体刺激下IL2:50ng/ml添加培地で培養した。この活性化されたリンパ球は、MKN45に対し^<51>Cr release assayにて19%の細胞障害活性を示した。 樹状細胞を用いた活性化リンパ球投与の臨床例:化学療法、放射線療法、ホルモン療法に耐性の乳癌再発症例(46歳女性)に対し、胸水より得られた癌細胞、末梢血から得られた樹状細胞をもちいて自己PBMCから活性化リンパ球を誘導しこれを経静脈的に投与した。臨床的効果は得られなかった。 同様に食道癌再発症例(67歳男性)に対し、自己活性化リンパ球を経静脈的、および皮膚転移巣に対し局所投与したところ、腫瘍マーカーの減少、皮膚転移巣の消失が見られた。 今後の展望:臨床例のさらなる追加を予定している。また、IL-12,TNFα追加、腫瘍細胞パルスの時期などについて樹状細胞の誘導法をさらに検討する予定である。さらに、樹状細胞を腫瘍抗原ペプチドにてパルスし、CTLを誘導する方法についても準備中である。
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