研究概要 |
(1) SCIDマウスを用い、human IL-12全身投与の抗腫瘍効果を検討した。IL-12投与下で、移植肺癌組織に対し腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が、腹腔内移植胃癌細胞株に対し健常人抹消血単核球(PBMC)がそれぞれ抗腫瘍効果を持つことが確認された。 (2) LAK細胞誘導時のIL-2,IL-12の濃度の組み合わせをLAK活性を測定して比較しそれぞれの至適濃度を検討したところ、IL-2 100U/ml以上、IL-12 10U/ml以上によりLAK活性の上昇を認めた(20%前後)。 (3) 樹状細胞(DC)を用いたCTL誘導法について検討した。DCの分離培養法ではGM-CSF+IL-4を用いる方法がメトリザマイド比重遠心法より優ると思われた。DCに癌細胞をpulseした後PBMCと共培養することで、IL-2+IL-12で培養しただけのLAK細胞や単に癌細胞で刺激後IL-2+IL-12で培養したeffectorに比べ、より高い細胞障害活性を得ることできたが、全体として20%を大きく越えることはなく満足すべき水準とは言えなかった。また、抗CD3抗体の使用は、期待されたほどeffector細胞数の増加をもたらさなかった。 (4) 臨床例:IL-2+IL-12で誘導したLAK細胞を大腸癌肝転移患者に肝動注リザーバーより3回投与したがNCであった。また、IL-4+GM-CSFにより誘導したDCと胸水より採取した自己癌細胞を用いてkiller細胞(DC-K細胞)を誘導し、主に経静脈的に患者に戻す養子免疫療法を乳癌肺転移患者と食道癌縦隔、皮膚転移患者に試みたところ、一例目はPD,二例目は縦隔転移に対してはPDであったが、腫瘍マーカーの低下と皮膚転移の消失をみた。 今後、より高い臨床効果を目指してMAGE-3蛋白発現腫瘍に対するMAGE-3ペプチドを用いたDC-K細胞の誘導を試みる予定である。
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