研究概要 |
経口用タクロリムスOil-in-Water-Type(O/W)エマルションの界面化学的特性から、オレイン酸1%v/v,Tween20 1%v/v,グリセリン2.5%g/v,タクロリムス濃度0.01%g/v,として、一次乳化をおこなったところ、平均粒子径1μm,封入率72%,室温下安定性14日間を認めた。DAラットを用い、o/wエマルション群(o/w群)と市販のタクロリムス経口薬群(市販薬群)とで、2mg/kgのタクロリムスを経口投与して、経時的に48時間まで採血して全血中のtrough levelを測定した。その結果、AUC、t1/2βにおいて、o/w群が市販薬群に比して有意に高値を示し、エマルションの徐放効果を示した。またDAラットを用いて、両群に1mg/kgのタクロリムス経口投与後、各臓器への組織内濃度分布を48時間まで測定した。この結果、骨髄での組織内濃度は投与後6時間から24時間までo/w群が市販薬群に比して約3倍の高値を認めた。一方脳では投与後12時間までo/w群が市販薬群に比して有意に低値を示し、腎においても9時間以降有意に低値を認めた。これは、骨髄移植での合併症として最も深刻なGVHDの治療やタクロリムスの副作用軽減に期待が持たれる。 今後の実験計画は、ラットによるGVHDモデルを作製し、o/w群と市販薬群とで治療効果を比較検討する。
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