研究概要 |
目的)経口用タクロリムスo/wエマルションのもつ薬理学特徴から、局所免疫抑制効果として、免疫担当臓器を標的とする心移植と、移植片を標的とする肝移植との2つのモデルについて、o/w製剤の免疫抑制効果を検討した。 方法)ドナーにDA/Slcラットの200gを、レシピエントにLEW/Seaラットの200gを用いた。心移植は、頚部に異所性に、肝移植は、同所性に移植した。免疫抑制剤の投与は、以下のように分けた。心移植モデルで経口用タクロリムスo/wエマルション投与群(olw群)は、(1)0.lmg/kg/day(N=3),(2)1.0mg/kg/day(N=3),(3)3.0mg/kg/day(N=7)。一方、市販の経口用タクロリムス投与群(市販群)(4)3mg/kg/day(N=3)及、拒絶モデルとして、(5)無処置群(N=7)で、移植後0日目から14日間胃内投与した。肝移植モデルは、o/w群(6)0.1mg/kg/day(N=6),(7)0.3mg/kg/day(N=6)、市販群(8)O.lmg/kg/day(N=5),(9)0.3mg/kg/day(N=10)及、(10)無処置群(N=10)で、移植後0日目から14日間胃内投与した。両モデルについて、各群間の平均生存日数を比較検討した。結果)心移植モデルの各群の平均生存日数は、(1)5.0±0.1日,(2)5.3±0.5日,(3)5.3±0.5日,(4)5.3±0.5日、(5)5.6±0.5日であった。以上より各群間に有意差を認めなかった。また、肝移植モデルのそれは、(6)11.3±1.6日,(7)11.3±3.7日,(8)10.8±1.1日,(9)18.4±7.0日,(10)10.8±1.2日であった.以上から各群間に有意差を認めなかった。考察)両モデルともに、移植片生着延長効果は得られなかった。局所免疫抑制効果を期待するためには、今回作製したo/wエマルション製剤で得られた特定組織内濃度以上の高濃度を期待する必要がある。
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