研究概要 |
1. 静注用タクロリムスW/O/W型多相工マルションを開発した。平均粒子径3.21±0.1μm,封入率84±4%,剤形の安定性5日間であった。この新剤型薬は、市販の静注用タクロリムスに比して、脳と腎での組織内濃度の低値と肝、脾での高値を示した。 2. 経口用タクロリムスo/wエマルションは、平均粒子径9.47μm,封入率71.3±5.0%,2日間剤形の安定性を認めた。この新剤型薬は、市販のものに比して、AUCの高値、KelとCL_<tot>の低値を認めた。また、生物学的利用率は、115.9%であった。骨髄、脾、肝、肺、小腸に高濃度の集積性を示し、脳、腎には、逆に低い組織内濃度を認めた。 3. 経口用タクロリムスo/wエマルションを使ってラット肝移植、心移植における免疫抑制効果を検討した。両移植モデルともに、市販のものに比して移植片の生着延長効果は、認められなかった。局所免疫抑制効果を期待するためには、今回作製したo/wエマルション製剤で得られた免疫担当臓器や移植片の組織内濃度よりも高い濃度を期待する必要がある。 4. 経口用タクロリムスo/wエマルションによる急性移植片対宿主病(GVHD)治療を、ラットGVHDモデルを作製して検討した。市販の経口用タクロリムに比して、GVHDの治療効果は得られなかった。GVHDの標的臓器のうち、皮膚、消化管粘膜に対して、o/wエマルション製剤による局所免疫抑制が不十分であったものと推測した。
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