研究概要 |
本年度はレチノイン酸投与によるマウス胎児二次口蓋形成におけるレチノイン酸受容体(Retinoic Acid Receptor:RAR)α,β,γの発現変化について研究を行い以下の成果を得た。 胎齢12.5日に母マウスに100mg/kgのall-transレチノイン酸(RA),13-cisRAを経口投与し,胎齢17.5日に胎児を調べたところall-transRA投与にて胎児の93%に,また13-cisRA投与にては19%の口蓋裂発生が見られた。マウス胎児二次口蓋におけるRARαmRNAの発現はall-trans,13-cisRA投与群とコントロール群との間に差は見られなかった。RARβはmRNA,蛋白ともにall-trans,13-cisRA投与によりその発現がコントロール群に比べ有意に増加した。また13-cisRAに比べall-transRA投与時においてRARβmRNA,蛋白の著明な増加が見られ,これはall-trans,13-cisRAによる口蓋裂発生率と相関していた。RARγはmRNAでの発現増加が見られたが,蛋白の発現に変化はなかった。RARγmRNAの増加も13-cisRAに比べall-transRA投与時において著明であった。 これらの結果からRAによる口蓋裂発生ではRARβを介してシグナルが伝達されることが分かった。またRAの催奇形性の強さとRARβの誘導は比例することも明らかとなった。
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