研究概要 |
マウス胎児をもちいて二次口蓋形成におけるレチノイン酸受容体(Retinoic Acid Receptor:RAR)α,β,γの発現について研究を行い以下の成果を得た。 1)胎齢12.5,13.5,14.5日のマウス胎児二次口蓋よりのtotal mRNAを用いノーザンブロット法にて正常マウス胎児二次口蓋におけるRARα,β,γmRNAの発現を調べた。その結果RARαmRNAは2.8kbと3.8kbの2種類が発現しており胎齢12.5から14.5日の間その発現量は変化していなかった。RARβmRNAは3.3kbの1種類が発現しており胎齢13.5日に発現量が増加していた。RARγmRNAは3.7kbの1種類が発現しており胎齢12.5日から14.5日の間発現量は変化しなかった。このころからマウス胎児二次口蓋においてRARα,β,γmRNAは各々独自の発現制御を受けていることが明らかとなった。 2)同様にして胎齢12.5日に母マウスに100mg/kgのall-transレチノイン酸(RA),13-cisRAを投与した場合のRARα,β,γ発現を調べた。all-transRA投与にて胎児の93%に,また13-cisRA投与にては19%の口蓋裂が発生した。RARαmRNAの発現はall-trans,13-cisRAを投与にて変化しなかった。RARβはmRNA,蛋白ともにall-trans,13-cisRA投与によりその発現が増加した。また13-cisRAに比べall-transRA投与時においてRARβmRNA,蛋白の著明な増加が見られ、これはall-trans,13-cisRAによる口蓋裂発生率と相関していた。RARγはmRNAでの発現増加が見られたが,蛋白の発現に変化はなかった。これらの結果からRAによる口蓋裂発生にはRARβが深く関わっていることが明らかとなった。
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