研究課題/領域番号 |
08671367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
杉本 貴樹 神戸大学, 医学部, 助手 (80263375)
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研究分担者 |
吉田 正人 神戸大学, 医学部, 助手 (70243318)
岡田 昌義 神戸大学, 医学部, 教授 (70030856)
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キーワード | グラフト流量 / 末梢動脈血流 / 内皮由来血管収縮因子 / 拡張因子 / 分子生物学 |
研究概要 |
1.ドプラー超音波診断装置(7.5MHz)による末梢動脈血流およびグラフト流量の経時的変化:血行再建術を施行した22肢に行い、浅大腿動脈の再建例では、末梢動脈の収縮期最大流速(PSV)は術前0.32*0.11m/sが術後0.66*0.23m/s、収縮期平均流速(MSV)は術前0.21*0.07m/sが術後0.35*0.12m/sと有意に改善し、流速波形でも全例で改善を認めた。また深大腿動脈においては、PSVが術前0.71*0.26m/sが術後1.38*0.47m/s、MSVは術前0.38*0.12m/sが術後0.65*0.17m/sと有意に改善し、浅大腿動脈の再建は側副血行路である深大腿動脈の血流も増加させることが示唆された。グラフトのPSVおよびMSVは、それぞれ1.41*0.30m/s、0.44*0.09m/sであり、流速波形は全例II型であった。今後、経時的変化を以下の分析と共に追跡する予定である。 2.虚血末梢動脈血での術前、術後の内皮由来血管収縮因子(ET-1)、拡張因子(NO2、NO3)の経時的変化:上記対象肢において、軽症虚血肢(FontaineII度)では、各因子に術前後の有意の変化を認めなかったのに対し、重症虚血肢(Fontaine III,IV度)では拡張因子において、術前高値であったものが、術後には有意な低下を認める傾向が判明した。これは上記因子が臨床症状とも有意に関連している可能性を示唆するものと考えられた。今後、末梢血行改善剤の投与およびグラフト流量との関連について検討を進める。 3.末梢側吻合部で組織での内皮由来血管収縮因子、拡張因子のm-RNAの発現とその分布、および従来の組織学的重症度及び分子生物学的重症度とグラフトの長期開存性との関係については、現在検討中であり、次回報告予定である。
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