1. 大腸癌障害性T細胞株の樹立 大腸癌患者癌性腹水より比重遠心法によってリンパ球を分離し、インターロイキン2存在下培養増殖させ、自己大腸癌細胞を強く障害する効果細胞を得た。この細胞株の形質はCD4であり、Fas-L陽性、TNFおよびIFN-γ産生能陽性であった。同細胞株の自己腫瘍細胞障害活性は抗T細胞受容体(TCR)-αβ抗体および抗TCRVβ20抗体の添加によって抑制された。 2. 大腸癌障害性T細胞株のT細胞受容体遺伝子の解析 上記大腸癌障害性T細胞株よりmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを作成後、TCR特異的プライマーを用いてポリメレースチェインリアクションを行い(RT-PCR)、TCR遺伝子を増幅した。増幅されたTCRはTCRVβ20であり、遺伝子解析から3つの塩基配列が同定された。癌性胸水・腹水患者に局所免疫療法を施行し、臨床効果と、同定された塩基配列を用いた患者局所リンパ球に対するRT-PCR解析では、有効例4例中3例に陽性バンドが、無効3例中3例に陰性バンドが認められ、この塩基配列を用いた癌特異的免疫療法適応患者の遺伝子診断の可能性が示唆された。
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