研究概要 |
方法:12-20Kgのブタで経皮的心肺補助装置(PCPS)を行った。脱血は16Frのチューブを下大静脈より心嚢内まで挿入,送血は12Frのチューブを総腸骨動脈より大静脈に挿入した。クラレ膜型人工肺AL-2000,遠心型ポンプを用い,死戦期におけるPCPSの効果を検討した。 結果:(1)心タンポナ-デモデルでは低血圧を誘導し得たが,同一血圧を保つのは困難で,PCPS流量が確保出来ない事より,本実験モデルには適さなかった。 (2)次に低換気,低酸素状態モデルではPCPSのポンプ流量1.2-1.5l/分は確保できた。無呼吸でもPCPSにより頚部及び内蔵動脈圧,動脈血酸素分圧,二酸化炭素分圧,酸塩基平衡を正常に維持できた。胸部下行動脈を遮断しない方がより良好なポンプ血流を維持し得た。 (3)PCPSなしで低一無換気を30分以上続けると動脈血ケトン体比低下,アンモニア高値,乳酸高値,著名なacidosis,肝組織ATP低下,肝の変色を認めた。 (4)低一無換気30分後にPCPSを行う事により動脈血ケトン体比,乳酸値,アンモニア濃度,肝組織ATP,acidosisは速やかに正常化し,Donorの呼吸状態にかかわらず臓器酸素化は維持できた。PCPSの有無により血清GOT,GPT,LDHの変化に差を認めなかった。 結語:死戦期の低一無換気状態はグラフト肝を障害するが,PCPSで臓器を酸素化することにより,グラフト肝のviabilityを保ちうることが示唆された。
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