本研究では当初、固相サブトラクション法を用いるとしたが、残念ながらこれまでのところ固相法にてサブトラクション・ライブラリーを作製することには成功していない。そのため、PCRサブトラクション法を用いて以下の実験を行っているが、目的の達成には何ら支障なく、現在まで順調に実験をすすめ良好な結果を得ている。先ず、ヒト末梢血からリンパ球を分離しインターロイキン2(IL-2)とともに培養し、膜型リンフォトキシン(mLT)陽性のLAK細胞を得た。作製したLAK細胞をIL-2を含有しない培地にて24時間培養しmLTの消失したmLT陰性LAK細胞を作製した。ついで、両LAK細胞からmRNAを分離精製し、さらにcDNAを作製した。得られたcDNAをSau3A制限酵素にて分解し、この実験の目的のために作製したプライマーを接合させ、PCR法にて増幅した。ついでmLT陽性cDNA断片からmLT陰性cDNA断片をサブトラクションした。この方法を3回繰り返しサブトラクションライブラリーを作製した。そのライブラリーをシーケンス用ベクターにライゲーションさせ、ランダムにシーケンスを行った。これまで約500クローンについてシーケンスを行い、その結果をインターネット上に公開されているデータベースと比較して、未知のシーケンスの検索やESTと呼ばれる詳細不明のDNAシーケンスデータとの異同を検索し、LAKクローンと名づけた一連の未知シーケンスデータ群を作成した。うちLAK-5は、つい先ごろhunc18bという名の神経分泌メカニズムに関与した蛋白であることが報告された。現在、LAK-4およびLAK-7について全シーケンスを解明中である。また、サブトラクション・ライブラリーのランダム・シーケンシングも平行して継続中である。
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