研究概要 |
消化器癌における免疫関連接着因子(B7-1,B7-2)の発現と増強に関する基礎的研究の小結 胃癌8種、食道癌6種、大腸癌4種及び造血系癌6種類、合計24種類の株化細胞における免疫関連接着因子B7-1,B7-2遺伝子の発現をmRNAレベルでRT-PCR法を用いて解析した。さらに、同株化細胞におけるB7-1,B7-2細胞表面抗原の発現を抗B7-1,B7-2抗体を用いてFlow cytometry法による検索を行った。その結果、B7-1mRNAの発現は24種類の株化細胞で全例に認められた。B7-2mRNAの発現は24種類中21種類(87.5%)の株化細胞に発現を認め、そのうち、消化器癌株化細胞で18種類中17種類(94.4%)に認めた。24種類の癌株化細胞表面におけるB7-1とB7-2の発現はRaji細胞(造血系癌)でそれぞれ90%と70%、消化器癌細胞株ではほとんど軽度から中等に認められた。サイトカンを添加培養することによるB7-1とB7-2の発現の修飾の可能性を解析するために、種々のサイトカン、IL-α,IL-1β,IL-2,IL-4,IL-6,IL-7,IL-10,GM-CSF,TNF-α,IFN-αとIFN-γを用いて検討した。その結果、IL-2とIFN-γを添加した場合のみB7-1とB7-2の発現が増強された。さらに、IL-2とIFN-γを添加によるB7-1とB7-2の発現が増強作用が、IL-10添加により抑えられたことが認められた。 以上より、免疫関連接着因子(B7-1,B7-2)は消化器癌細胞においても発現されている事、さらに特定のサイトカインより発現の増強や抑制が誘導できる事が明らかになり、今後の免疫治療を考える上で興味深い知見と考えている。
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