研究概要 |
平成8年では主に犬腎移植モデルを利用し局所選択的免疫抑制法をおこなった。犬においてはCD3に対するモノクローナル抗体が存在しない為に,今回の検討では現在臨床使用されている免疫抑制剤タクロリムス(FK506)を使用した。従来の方法(レシピエントの大腿動脈と腎動脈の端端的合)で雑種成犬を用いて腎移植をおこない直径0.5mmの極細のチューブを大動脈分岐部の大腿動脈より挿入し、アロンファルファーで固定した。しかしこの方法では大腿動脈の狭窄、血栓を生じ,そのため死亡する犬が50%であった。このため腹部大動脈の枝である腰動脈の1本からチューブを挿入しこれを大腿動脈まで導入した。この方法では狭窄、血栓を作らずに安定した成績が得られた。アルゼットポンプを用いてFK506を0.1g/kg/dayを7日続けたところコントロール群平均9、4±2、9日(n=10)に対して末梢投与群で13、7±7、4日(n=5)、選択的投与群で19、0±7、2日(n=5)という結果が得られた。時間的経費的な問題でFKの量は固定したが、次年度は至適な投与量と期間の検討を行う予定である.またラットで接着因子のP-あるいはE-セレクチンに対するモノクローナル抗体が入手可能なためこれを用いてラットの腎移植モデルで検討する予定である.
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