研究概要 |
本年度(平成8年度)は実験使用動物での異所性心移植の生着日数の確認およびドナーリンパ球の分離を行い,以下の結果を得た. 結果1. Control群での異所性心移植の生着日数の確認 ドナーにLewis (RT^1)を,レシピエントにBN (RT^n)を用い,腹腔内に異所性心移植を行い,生着日数の確認を行った.触診にて心停止と判断した日を拒絶日とした.生着日数は6, 7, 7, 7, 7 (n=5),平均6.8日であった.今回の実験で用いる系が,拒絶反応の強くおこる系であることを確認した. 結果2.ドナーリンパ球の分離 ドナーラットの脾臓を摘出した後,脾臓をメッシュで粉砕した.Ficoll法にて,比重遠心を行い,リンパ球層を得た.分離はmagnetic beads法により行った.リンパ球分画から赤血球を除去するため,NH_4Clで溶血させた後,各種モノクローナル抗体(以下,mAb)を4℃,60分反応させた.用いたmAbは,OX-8(抗CD8), OX-38(抗CD4),OX-6(抗MHC class II), OX-33(抗B), G4・18(抗CD3)である. mAbと反応後,anti-monse IgGをコートしたbeads (Dynabeads M-450)を適当量,37℃,30分反応させた.反応後,磁性粒子収集装置(DYNAL MPC-1)でbeadsに結合した細胞を除去し,目的細胞を回収した(negative selection).目的細胞のpurityを確認するため,再度mAbを反応させ,回収した細胞をflow cytometryで解析した.そこ結果,B細胞;約90%,CD4^+細胞;約90%,CD8^+細胞;約65%であり,比較的高純度の細胞集団を相当量,効率的に分離・回収した. 本年度(平成9年度)は,上記の方法で得られた細胞を選択的に移入し,生着延長効果について検討する予定である.
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