研究課題/領域番号 |
08671382
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
遠藤 昌夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00112681)
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研究分担者 |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20216261)
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50197513)
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キーワード | 免疫抑制 / リコンビナントタンパク / IL-2 / RNase / 抗炎症作用 |
研究概要 |
臓器移植における急性拒絶反応では、活性化されたT細胞により生じる障害が病態悪化の主たる要因となっており、これらを制御できれば治療成績の向上も可能となる。そこで、活性化したT細胞に過剰に発現してくるIL-2受容体を分子標的としたミサイル療法を開発することにより新しい免疫抑制剤を開発することを目的とした。ヒトIL-2cDNAのN末端部分とヒトRNAasecDNAのC末端部分を結合させ、発現ベクター(pRSETT7)に組み込み、大腸菌に封入体の形でIL-2・RNaseの融合タンパクを産生させ、封入体を可溶化させたのち、精製とrefoldingを行い生物活性を復活させた。最終的に逆相HPLCで精製した融合タンパクのアミノ酸組成をWaters AccQ-Tagアミノ酸分析システム(Millipore Corp.,USA)で、N端側のアミノ酸配列はApplied Biosysytems Model 473Aで、決定した。アミノ酸組成およびN端側のアミノ酸配列は融合タンパクおよびヒトRNaseとして適合していた。リコンビナントIL-2・RNaseを、IL-2受容体を発現していないヒト白血病細胞MOLTIVとIL-2受容体を過剰発現しているHUT102にin vitroで投与し、その殺細胞効果をMTTassay法にて測定したところ、MOLTIVは融合タンパクにより増殖作用はなんら影響を受けなかったが、HUT102では明らかな増殖抑制効果が認められ、IL-2、RNase単独添加群や無添加群に比較して有意な細胞数の現象が認められた。さらに、悪性リューマチ患者から得られた関節の滑膜をex vivoで培養し、IL-2・RNase融合タンパクを添加すると著名な抗炎症作用が認められた。これらの結果は、本融合タンパクがIL-2受容体を介した殺細胞効果を有し、活性化したT細胞を特異的に死滅させることにより新しい治療薬に発展する可能性を示している。
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