研究課題/領域番号 |
08671387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小崎 浩一 東京医科大学, 医学部, 助手 (10256274)
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研究分担者 |
小崎 正巳 東京医科大学, 医学部, 名誉教授 (30096309)
長尾 桓 東京医科大学, 医学部, 教授 (90143487)
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キーワード | Pentoxifylline / 一酸化窒素 / 温阻血障害 / 心停止ドナー / 低温持続灌流保存 |
研究概要 |
肝の低温持続灌流保存法における灌流液の検討 目的:心停止ドナー肝の臨床移植に本法を用いることを目的として、灌流保存液の検討を行った。 研究方法:250〜300gのWistar系雄性ラットを用い、肝を摘出し、経門脈的に灌流保存した。保存装置は、我々が開発したnon-pulsatile machineを用いた。実験群は灌流液により3群に分け、第1群:UW液、第2群:UW+Pentoxifylline(PTX)50mg/kg、第3群:UW-gluconate(UW-G)液とし、各群n=5とした。なお、PTXは既に我々がUW液を用いたラット肝単純浸漬保存、移植実験で再灌流障害を軽減させることを報告した薬剤である。保存温度は8〜10℃、灌流圧は5〜10mmHgとした。測定項目は、電極法を用いた一酸化窒素(NO)、肝機能(AST、ALT、LDH)、ヒアルロン酸(HA)、アンモニア(NH3)、総アミノ酸量(TAA)、分枝鎖アミノ酸量(BCAA)、尿素(Urea)、Fisher比であり、灌流開始後1、4、6、12時間後に灌流液を5ml採取して測定した。さらに灌流前後の肝重量の変化、及び摘出肝の組織学的検索を行った。 結果:1)NOは、全群時間経過とともに減少した。2)肝機能(AST、ALT、LDH)は、第3群が第1、2群に比して有意に低値をとった。また第1群と第2群の比較では、第2群は第1群に比して有意に高値をとった。3)HAは第3群が第1、2群に比して有意に低値をとったが、第1群と第2群の比較では、第2群は第1群に比して有意に高値をとり、内皮細胞障害が示唆された。4)NH3は、第3群が第1、2群に比して有意に低値をとった。5)TAA、BCAA、Ureaは灌流開始後6時間までは第3群が第1、2群に比して有意に低値をとった。6)Fisher比は、第3群において時間経過とともに上昇し、第1、2群に比して芳香族アミノ酸の発生が少ないと考えられた。7)組織学的には第1群において中心静脈の拡張が認められた。 結語:肝の単純浸漬保存で、UW液にPTXを添加したUW+PTX液は、UW液よりも優れた保存液であることを既に報告したが、今回の実験で、HCPPにはUW+PTX液並びにUW液は不適でありUW-G液の優れていることを確認した。この成績をもとにさらに良い低温持続灌流保存液を開発したい。
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