ミニブタは研究用実験動物や異種移植時の臓器提供動物として注目されているが、MHC(SLA:swine leucocyte antigen)領域に存在する発現遺伝子の数、多型などの基礎的データは少ない。本研究では、利用頻度の多いゲッチンゲン系ミニブタのSLAクラスII領域に存在する発現遺伝子座の特徴を明らかにするため、cDNAライブラリーを作成し、これから分離したcDNAクローンの各種遺伝子解析を行った。(材料と方法):ゲッチンゲン系ミニブタの脾臓組織よりmRNAを抽出し、ZAP-cDNASynthesis Kit(STRATADENE)を用いてcDNAライブラリーを作成した。スクリーニングには、HLAクラスII抗原α鎖およびβ鎖cDNAクローンをプローブとして用いた。制限酵素地図の作成には、プラスミドベクターpBluescriptのマルチクローニングサイト上に存在する制限酵素10種、塩基配列の決定には、自動蛍光シークエンサーを用い、解析にはGENETYX-MACを使用した。 1)ミニブタのクラスIIα鎖抗原cDNAのクローニングをその分離:スクリーニングにより50種の陽性クローンが得られ、これらをサザンハイブリダイゼーション解析した結果、なお陽性を示すクローンが11個得られた。これらの制限酵素地図を作成し、各クローンの5'側および3'側それぞれ300bpの塩基配列を決定し、既存の塩基配列との相同性を検索した結果、SLA-DQAおよびSLA-DNA遺伝子が発現していることが示唆された。 2)ミニブタのクラスIIβ鎖抗原cDNAのクローニングとその分離:1)と同様にスクリーニングにより120個の陽性クローンが得られ、これらをサザンハイブリダイゼーション解析した結果、なお陽性を示すクローンが12個得られた。1)と同様の方法で塩基配列を決定し既存の塩基配列との相同性を検索した結果、SLA-DQBおよびSLA-DRB遺伝子が発現していることが示唆された。
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