研究概要 |
平成8年度は、A.IL-12抗体を用いたグラフト生着延長効果を検討した。すなわち、a)抗マウスIL-12抗体を産生するハイブリドーマをマウスの腹腔内に注入し、IL-12抗体を精製する。b)ICRマウスよりラ島を分離する。c)STZ誘発糖尿病C57BL/6マウスの腎被膜下に分離ラ島600個を移植し、抗IL-12抗体500μgを移植後0,4,8,12日目に投与する。d)血糖値を測定し、移植ラ島の生着を評価する。予備実験を行った。その結果、抗体非投与群の平均生着期間は10.2日であったが、抗体投与後での生着期間は20日以上、100日以上の長期生着例も認められた。 B.IL-12,p40遺伝子導入によるグラフト生着延長効果に関する実験の具体的準備を開始した。a)C3Hマウスの筋芽細胞にレトロウイルスをベクターとして用い、IL-12,p40のcDNAを導入してp40/Myoを作製した。b)C3HおよびC57BL/6マウスからのラ島分離がICRマウスと同様に可能であるかを検討した。c)現在、腎被膜下への移植実験に取りかかっている。 マウス同種膵ラ島移植において、抗IL-12抗体のグラフト生着延長効果が確認された。この結果は、われわれが予測したとおりTH1/TH2バランスをTH2優位にすることにより移植臓器の拒絶反応が抑制されることを証明している。
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