研究概要 |
膵胆道癌に特徴的な神経周囲浸潤に対する効果的な局所化学療法を確立するため、抗NCAM抗体と制癌剤を結合させて複合体を作成し、in vitroにおける薬剤活性、抗体活性、in vivoにおける複合体の腫瘍到達性、抗腫瘍効果等を検討するのが本研究の目的である。 抗NCAM抗体-マイトマイシンC複合体の作成:ラット抗NCAMモノクローナル抗体(Chemicon International Inc.,Temecula,CA)を50倍モルのBrCNで、pHをIIに維持しながら10分間攪拌し、抗体のOH基を活性化し、imidocarbonate基を誘導した。ついでpHを7.5に調整して、マイトマイシンC(協和発酵、東京)のamino基と、24時間低温暗室で攪拌し、couplingさせた。反応物を透析して抗NCAM抗体-マイトマイシンC複合体を作成した。 in vitroにおける複合体の薬剤活性:NCAM陽性神経芽細胞腫樹立株(IMR-32)を用い、MTT法で増殖抑制効果を、マイトマイシンC水溶液との比較で検討した。複合体の増殖抑制効果は濃度依存性に変化し、同濃度のマイトマイシンC水溶液の増殖抑制活性の81.2%が維持された。 in vitroにおける複合体の抗体活性:抗原としてNCAM陽性胆管癌の組織を用い、免疫組織化学染色法で検討した。VectastainのABCキットを用い、DABで発色させ、抗NCAMモノクローナル抗体との比較で検討し、複合体の抗体活性を確認した。 in vivoおける複合体の薬剤活性と抗体活性:凍結保存してあるヒト由来胆道癌細胞株を解凍し、ヌードマウスに移植継代を検討している。継代が安定した時点でNCAM発現の有無を免疫組織化学染色法で確認することを検討している。その後作成した複合体を担癌ヌードマウスに投与し、その腫瘍到達性と抗腫瘍効果を検討している。
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