研究概要 |
1.胆汁中のK-ras codon12点突然変異,CEAおよびCA19-9の検討 胆道疾患が疑われ,ERCP,PTCDが施行された全ての症例につき検査時に採取した胆汁を遠沈し上精より腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)の測定を行い,細胞成分よりDNAをphenol-chloroform法にて抽出した.標本を採取した症例は胆石症,総胆管結石症,肝内結石症などの良性疾患が23例,胆管癌,胆嚢癌などの胆道系の癌が20例の計43例であった. (1)胆汁中のCEAおよびCA19-9の検討 良性疾患と胆道癌の胆汁中のCEA実測値には有意差がなかったが,CEA値のcut-off値を100ng/mlとすると100ng/mlを越えるものでは有意に胆道癌が多くそのpositive predictive valueは86%,negative predictive valueは62%,accuracyは67%であった.CA19-9には全く相関が見られなかった. (2)胆汁中のK-ras codon12点突然変異の検討 K-ras codon12点突然変異は2step PCR-RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)法で検出した.K-ras codon12点突然変異の有無を検討できたのは良性疾患17例,胆道癌20例の形37例であった.このうち胆汁中にK-ras codon12点突然変異を認めたのは3例のみでそれらはすべて胆道癌であった.従って,negative predictive valueは50%と低いがpositive predictive valueは100%であった. 2.胆汁中のp16変異の検討 胆汁中のp16の変異の検討は現在基礎的な実験中で,SSCPによる突然変異の検出法を検討中である.平成9年度以降に解析予定である.また,今後direct sequenceなどを行って変異の実態を更に詳しく検討していく方針である.また,切除した腫瘍組織と短胆汁中の遺伝子変異の関係も検討していく予定である。
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