研究概要 |
対象及び方法:消化管疾患のうち大腸癌46例、FAP15例、若年性ポリポ-シス3例、Peutz-Jeghers症候群5例に対し、HE、PCNA、TUNEL染色法を行い、それぞれの特異的疾患において、TUNEL染色を指標としたapoptosis及び増殖中の細胞に現れるPCNAを指標とした細胞増殖能がどのように起こっているかを検討した。またそれらの因子が各種遺伝性消化管ポリポ-シスの間で異なるかとうかを検討した。 結果:大腸癌においては深達度の進むほど、また高分子化より低分化腺癌においてapoptosis及びPCNA陽性細胞数の割合が多くなった(p<0.05)。遺伝性腫瘍性疾患ではss大腸癌に比べPCNAとapoptosis陽性細胞数の割合が少なかった。(p<0.05)。 PCNA、TUNEL染色法は細胞増殖能及び細胞死を的確に反映しており、消化管疾患、特に大腸癌に対し、進行度及び悪性度の指標になりうると思われた。遺伝性消化管ポリポ-シスについて検討すると、散在性のadenomaとFAPのadenomaは細胞動態として区別できなかった、両者は発生原因が同じと考えられる。また、若年性ポリポ-シスとPeutz-Jeghers症候群は腺管底部にPCNA,apoptosisを認め特異的であった。それら両者の病変は腺腫と形態も異なるが、発生する原因も異なると考えられた。
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